485.旦那様もキスとハグで励ましてほしい

その時、彼はすぐに言った。「ママ、ここで休んでいてね。僕とパパがトロフィーを獲ってくるところを見ていて、応援してね。」

九条結衣は藤堂澄人の得意げな笑顔を睨みつけ、今の自分の曲がりにくい膝のことを考えると、やはり無理はできなかった。

それに、比べてみれば、藤堂澄人の方が勝つ可能性は確実に高かった。

息子が優勝して喜んでくれれば、自分が参加するかしないかはどうでもよかった。

「わかったわ、九条初、頑張ってね!」

九条結衣は身を屈めて息子の頬にキスをし、励ましの意味を込めて大きな抱擁をした。

九条結衣の息子と自分に対する態度の違いを見て、藤堂澄人は少し妬ましく感じた。

さりげなく息子を押しのけ、彼は好意的な笑顔を浮かべながら九条結衣を見て言った。「結衣、僕もキスとハグで励ましてほしいな。」