もっと褒めて

「本当にあなたが作ったの?」

九条結衣は少し信じられない様子だった。彼との三年間の結婚生活で、藤堂澄人がキッチンに入るところを見たことがなかった。それに、藤堂家には大勢の使用人がいて、様々な料理を得意とするシェフだけでも何人もいたので、藤堂澄人が料理をするなんて考えもしなかった。

まさか藤堂澄人が本当に料理ができるとは思いもよらなかった。

朝の洋食は悪くなかったけど、まさか中華料理もこんなに食欲をそそるように作れるとは思わなかった。

目の前の材料はシンプルながら、見た目も香りも味も申し分ない海鮮麺を見て、九条結衣は思わず箸を手に取った。

「もちろん俺が作ったさ。お前が見ていたじゃないか、忘れたのか?」

藤堂澄人は彼女の向かいに座り、その大きな体を突然彼女の方に寄せ、いつもの深い瞳に今は少し茶目っ気のある笑みを浮かべていた。