彼女は藤堂グループの運営に関わったことはなかったが、藤堂グループがどれほど巨大な財閥であるかは知っていた。
藤堂グループは国内外の様々な産業に携わっており、傘下には大手の軍需企業、不動産会社、金融、ゲームなどがある。
経済に関係するものなら、藤堂グループは全て手がけていた。
その豊富な資金力と人脈は軽視できないものだった。
このように人脈も資金力もある大企業が、アメリカの一つの政府プロジェクトを解決できないというのは、明らかに誰かが意図的に藤堂グループに対抗しようとしているということだった。
しかも、相手の実力は藤堂グループと互角だった。
藤堂グループには及ばないかもしれないが、ちょっとした工作くらいはできる可能性は十分にあった。
小悪魔は閻魔様より厄介だという道理を九条結衣も理解していた。そうでなければ、あの時の藤堂澄人も策略にはまり、首謀者が誰なのか最後まで分からなかったはずがない。