やはり彼女は自分の孫娘なのだから、藤堂家から追い出すと言っても本当に追い出すわけがない。
どう考えても、彼女は藤堂家の正真正銘のお嬢様であり、藤堂澄人の妹なのだから。
「執事、私を中に入れなさい!」
「申し訳ございません、お嬢様。大奥様がお通しするなとおっしゃっているので、私のような下僕には勝手な判断はできかねます!」
「あなたも自分が下僕だと分かっているくせに、下僕のくせに私を止めるなんて、さっさと退きなさい!」
藤堂瞳は激怒した。おばあさまと兄に冷たくされるのはまだしも、下僕にまで邪魔されるなんて。
傍らにいた植田涼は、藤堂瞳のその言葉を聞いて、端正な顔をしかめずにはいられなかった。
妻が幼い頃から我儘に育ってきたことは知っていたし、彼女と結婚した以上、わざわざ性格を制限しようとは思わない。
自分の妻が我儘を言う資格すらないのなら、それは夫である自分が無能だということだ。
しかし、それは人に対する最低限の敬意すら持たなくていいということではない。
藤堂家の執事は大奥様と同世代の人物で、下僕とは言え目上の人だ。瞳がこんな風に大声を出して、言葉で侮辱するなんて。
植田涼の声は自然と沈んでいった。「瞳、言葉遣いに気をつけなさい!」
藤堂瞳は今まさに怒りが頂点に達していたところで、自分の夫がこんな厳しい口調で下僕のために自分を諭すなんて、さらに我慢できなくなった。
「何に気をつけるの?ただうちの飯を食べている下僕じゃない!」
傍らの執事はそれを聞いて、表情が曇り、眉をしかめたが、結局何も言わなかった。
植田涼はもう聞いていられず、さっきよりもさらに表情が険しくなった。
「そんな態度なら、もう中に入る必要はない。おばあさまをさらに怒らせることになるだけだ。私が中に入っておばあさまに会ってすぐ出てくる。」
「あなた……」
藤堂瞳は怒りで目が赤くなった。いつも自分を可愛がり、我儘を許してくれていた夫までもが、自分を諭そうとするなんて。
「植田涼、何を言うの!」
植田涼も今や表情が良くなく、執事の方を向いて言った。「執事、私が中に入りましょう。」
「はい、旦那様、こちらへどうぞ。」
藤堂家の外には警備員が立っていて、藤堂瞳が強引に入ろうとしても入れず、ただ門前で自分を止める警備員たちに罵詈雑言を浴びせるしかなかった。