やはり彼女は自分の孫娘なのだから、藤堂家から追い出すと言っても本当に追い出すわけがない。
どう考えても、彼女は藤堂家の正真正銘のお嬢様であり、藤堂澄人の妹なのだから。
「執事、私を中に入れなさい!」
「申し訳ございません、お嬢様。大奥様がお通しするなとおっしゃっているので、私のような下僕には勝手な判断はできかねます!」
「あなたも自分が下僕だと分かっているくせに、下僕のくせに私を止めるなんて、さっさと退きなさい!」
藤堂瞳は激怒した。おばあさまと兄に冷たくされるのはまだしも、下僕にまで邪魔されるなんて。
傍らにいた植田涼は、藤堂瞳のその言葉を聞いて、端正な顔をしかめずにはいられなかった。
妻が幼い頃から我儘に育ってきたことは知っていたし、彼女と結婚した以上、わざわざ性格を制限しようとは思わない。