591.藤堂瞳がまた来た

夕食前に、藤堂家のかかりつけ医が一度訪れ、大奥様の病状について藤堂澄人夫妻に詳しく説明した。

主に高齢者特有の病気で、日常的なケアが必要であり、年を取ると病気の進行が遅く、回復にも時間がかかるため、ある程度の忍耐が必要だということだった。

また、お年寄りの気分を良好に保ち、日常の些細なことで心配させないようにする必要があった。

夕食時、大奥様は目を覚まし、使用人に部屋まで運ばせるのではなく、自ら食堂で食事をすることを主張した。

結局、藤堂澄人もそれを許可した。

さらに、大奥様は曾孫に会えて気分が良く、精神状態も非常に良好で、顔色が少し白いことを除けば、病人には見えなかった。

「大奥様、今は若旦那様とお嫁様、そして坊ちゃまもいらっしゃいますから、もう栄養食を食べないという我儘は言わないでくださいね」

山本叔母さんは、特別に大奥様のために作った栄養食を彼女の前に置いた。

大奥様は濃い味付けを好み、普段からこのような薄味のものを好まなかった。今回の病気も、不規則な食事が原因の一つだった。

医師は再三、お年寄りは脂っこいものや辛いものを控えるように言い、大奥様はその場では同意しながらも、結局いつも通り食べ続けていた。

山本叔母さんは何度諭しても聞き入れてもらえなかったが、今は若い主人たちが揃っているこの機会に、すかさず提案した。

大奥様はこれらの薄味の料理を見ただけで食欲がなくなり、すぐに眉をひそめた。

何か言おうとした時、初が言った。「ひいおばあちゃま、病気の時はお医者様の言うことを聞かないといけないの。初も病気の時はとても良い子にしているの」

愛する曾孫がそう言うのを聞いて、大奥様は反対する気持ちもなくなり、にこにこと頷いて承諾した。

「おばあちゃまは初の言うことを聞くわ。おばあちゃまも初と同じように頑張らなくちゃね」

「うん」

大奥様が箸を手に取り、栄養食を美味しそうに食べる様子を見て、傍らの山本叔母さんは思わず笑みを浮かべた。「やはり坊ちゃまはすごいですね。大奥様は誰の言うことも聞かないのに、坊ちゃまの言うことだけは聞いてくださる」

九条初坊ちゃまはその言葉を聞いて、目も眉も笑みで曲がるほど嬉しそうだった。

「大奥様、お嬢様と旦那様がいらっしゃいまして、外でお待ちです」

執事が外から入ってきて、小声で告げた。