4年前のあの夜、彼女と藤堂澄人が最も険悪な関係になった時、お婆様が突然心臓発作で入院した。
その原因は、お婆様が藤堂澄人と大喧嘩をし、彼が自分を疎かにしていると感じたからだった。怒り狂った藤堂澄人は、彼女がお婆様の前で自分の悪口を言ったと思い込み、それでお婆様が発作を起こしたのだと。
これは彼女が帰国して初めてお婆様に会った時、お婆様が彼女に話したことで、ついでに藤堂澄人のことを散々叱りつけた。
当時、彼女はただ可笑しく思っただけだった。藤堂澄人が彼女に偏見を持っている限り、何でも彼女のせいにするのだから。
しかし、今になって思い返してみると、腹は立つものの、恨みの気持ちは少し薄れていた。
今、彼女が最も心配しているのはお婆様の状態だった。
お婆様は70代で、現代では特別高齢というわけではないが、若くもない、まさに人生の重要な時期だった。
持ちこたえられるかもしれないし、もし持ちこたえられなければ…
九条結衣は眉をひそめ、心に不安を感じていた。
お婆様は本当に彼女を実の孫娘のように可愛がってくれた。あの3年間、もしお婆様がいなければ、彼女はとっくに耐えられなくなっていただろう。
しばらく沈黙した後、彼女は藤堂澄人に電話をかけた。電話は一度鳴っただけですぐに出た。
「結衣?」
「山本叔母さんがお婆様が病気だと言っていたけど、知ってる?」
「ああ、山本叔母さんから電話があった。すぐに帰るつもりだ。」
藤堂澄人の声には疲れが混じっていた。
「今どこにいるの?」
「藤堂グループを出たところだ。どうした?」
「誠和まで私を迎えに来て。」
「わかった。」
藤堂澄人は何も聞かず、電話を切ってからすぐに車が誠和ビルの下に到着した。
遠くから、九条結衣が会社のビルの外で待っているのが見えた。
藤堂澄人は急いで車を降り、彼女の方へ歩いていった。「長く待った?」
「ううん、1、2分くらい。」
藤堂澄人は頷いた。お婆様の状態を思い出し、気分が沈んでいた。唇を噛んで言った。
「A市に戻ってお婆様の様子を見てくる。お婆様の具合が良くなったら戻ってくる。」
「保育園に行って息子を迎えに行きましょう。」
「え?」
藤堂澄人は一瞬驚いたが、すぐに九条結衣の意図を理解した。