587.あなたと年を重ねるのは私

これから誰が九条初を見かけても、私生児と呼ぶなんて、九条初だけでなく、彼女も我慢できないわ。

藤堂澄人は彼女の言葉を聞いて、心の中の罪悪感が一層強くなった。「ごめん、全て私が悪かった。君たちに辛い思いをさせてしまって。」

突然、九条結衣が冷たく鼻を鳴らし、彼を押しのけた。「息子が辛い思いをしているのを知っているなら、これからは目の上のたんこぶのように扱うのはやめて。」

「僕がいつ息子を目の上のたんこぶのように扱ったんだ?」

奥様にそう非難されて、藤堂社長の顔には途端に委屈そうな表情が浮かんだ。

「あなたが一番分かっているでしょう?」

九条結衣は鼻を鳴らし、今おもちゃ部屋で一人遊びをさせられている初のことを思い出し、藤堂澄人を見る目にさらに非難の色が増した。

藤堂澄人は少し考えてから、やや申し訳なさそうな表情を浮かべた。「たまにはね。」

妻と二人きりになりたい時に、いつも余計な人が邪魔しに来るんだから、目の上のたんこぶに思えないわけがない。

どうせこれからもそういうことは続くだろう。

藤堂社長は心の中で納得しながら、にこにこと言った:

「あいつもいずれは大きくなって、結婚したら、今度は私たち二人が目の上のたんこぶになるんだ。でも最後まで君と一緒に年を重ねていくのは僕なんだから、愛する奥さん、今は旦那である僕を大事にしてくれないと。あの生意気な小僧じゃなくてね。」

九条結衣は即座に彼を蹴った。「あっち行って!」

息子が大きくなるのは分かっているけど、今はまだ小さいじゃない。

それに、将来息子が嫁を迎えても、彼女は邪魔をしに行くつもりなんてない。

C市からA市までそれほど遠くなく、一時間半後、飛行機は藤堂家の裏手にある飛行場に着陸した。

「若様、やっとお帰りになられました。」

藤堂澄人が戻ってきたのを見て、執事の心もようやく落ち着いた。続いて飛行機から降りてきた九条結衣と初を見て、執事の目が輝いた。

「奥様、坊ちゃま、お帰りなさいませ。」

この数日間、ネット上では奥様と坊ちゃまの身分についての議論が白熱していた。

大奥様は心配のあまり、直接スタッフにツイッターのアカウントを作らせたほどだった。

幸い若様が早めに奥様と坊ちゃまの身分を認めたので、ネット上のあの酸っぱくて悪意に満ちたコメントも、これ以上続くことはなくなった。