622.どっちも同じようなもの

腸がまた痛み出し、彼女はお腹を押さえながらリビングに入った。お腹の具合が悪く、夕食の食欲もなくなったため、二階に上がった。

9時近くになっても藤堂澄人が帰ってこないので、九条結衣は少し心配になり、彼に電話をかけたが、電源が切れていた。

九条結衣は眉をひそめ、藤堂澄人のオフィスにも電話をかけたが、誰も出なかった。これで彼女の眉間の皺はさらに深くなった。

プレステージクラブ——

藤堂澄人が到着した時、田中行はすでにかなり酒を飲んでいた。彼がドアを開けて入ってきても、ただ面倒くさそうに目を上げただけだった。

「電話が繋がらなかったから、来ないのかと思った」

アルコールの影響で、田中行の声は少しかすれていた。

「電池が切れた」

藤堂澄人は淡々と答え、歩み寄って田中行の前に座り、自分にも酒を注ぎ、イライラした様子で一気に飲み干した。