624.藤堂社長のスキャンダル

彼女の頬にキスをして、「分かった。君の言う通りにするよ。これからはお酒を飲まないよ」と言った。

「うん、早く寝ましょう。眠いの」

「ああ」

藤堂澄人は九条結衣の隣に横たわり、一日中彼女を放っておいたことを思い出して、心が痛んだ。彼女を抱く腕に、思わず力が入った。

翌日、九条結衣は藤堂澄人と一緒に会社へは行かず、お婆様とお寺参りに付き添った。

お婆様は毎月旧暦の十五日にお寺参りをするのが習慣だった。

九条結衣が九条初を連れて戻ってきてから、お婆様は嬉しかったせいか、体調もぐっと良くなった。

「初ちゃん、お曾祖母さんと一緒にお参りしましょう。お母さんが早くあなたに妹を産んでくれるようにお願いするのよ」

九条結衣はお婆様を支えながら仏前に立ち、その言葉を聞いて苦笑いを浮かべた。