そんな素晴らしい年頃で彼に出会い、彼を愛し、彼に相応しい女性になろうと必死に努力した。
しかし、運命の悪戯で、二人は最も輝かしい時期を、すれ違ってしまった。
今、やっと過去を取り戻すチャンスを掴んだのだから、なおさら大切にしなければならない。些細な誤解で、また一度すれ違うようなことがあってはならない。
藤堂澄人は、彼女の突然の沈黙と、思わず漏れた溜息を感じ取り、胸が痛んだ。
彼女が思い出したくもない過去を思い出したのだと察し、自責の念と心痛を覚えた。
九条結衣をさらに強く抱きしめると、結衣が言った。「これからは誤解なんてしないでよ。また何も言わずに不機嫌な顔をしたら、許さないからね。」
彼女は威勢よく彼の腰をぎゅっと掴んで、声も強気だったが、藤堂澄人の耳には蜜より甘く響いた。