641.無関心なわけじゃない

藤堂澄人のその言葉を聞いて、彼女は先日、彼が小林由香里を家まで送った後、戻ってきた時の反応を思い出した。

彼は今のように不安げで、自分が余計な世話を焼いていると思われていないか、彼女が小林由香里のことで嫉妬しないのは、自分のことを気にかけていないからではないかと尋ねてきた。

つまり、この間ずっと、彼はそう思い続けていたの?

そう考えると、九条結衣の胸に、かすかな痛みが走った。

体の横に垂らしていた手をゆっくりと上げ、彼の腰に回して抱きしめながら、小声で言った。「どうして……」

藤堂澄人の体が一瞬こわばった。

九条結衣は続けて尋ねた。「どうしてそんな風に考えるの?私たち……再婚することになったでしょう?どうして私が……あなたを拒むと思うの?」

彼女は藤堂澄人がこんな不安を抱えているとは思ってもみなかった。