藤堂澄人は自然に腕を伸ばし、後ろから彼女を支え、足首を掴んでいた手を急に離すと、両手で彼女の体を抱きしめ、二人は後ろのベッドに倒れ込んだ。
長い脚を軽く上げ、九条結衣の両足の上に乗せた。
「お腹まだ具合悪い?旦那さんがマッサージしてあげる」
そう言いながら、大きな手のひらを彼女の小さなお腹に当て、軽く二回撫でると、九条結衣にはたかれた。
心の中の問題が解決し、藤堂澄人の一日中溜まっていた憂鬱な気分も、随分と晴れてきた。
彼は九条結衣を自分の腕の中に抱き寄せながら、今日彼女が渡辺拓馬と並んで笑顔で病院に入っていく姿を思い出し、また胸が苦しくなってきた。
「今日、第一病院の前を通った時、君が渡辺拓馬と一緒にいて、楽しそうに話してたけど、僕にメッセージを送ったのに返信もくれなかった...」