しかし、若い世代のことについて、この老いた身では深く関わりたくないと思っていた。
「分かっています、大奥様。私はちゃんと自分の面倒を見ますから。」
これは夏川雫が初めて藤堂家のお婆様に会った時のことだった。以前は九条結衣からお婆様がとても良い人で、お金持ちの家の奥様なのに、人を見下したりしないと聞いていただけだった。
白石七海のような人とは、全く比べものにならなかった。
今回実際に会ってみて、夏川雫は、お婆様が結衣の話以上に素晴らしい人だと感じた。
彼女にとって、ただの孫の嫁の親友、初対面の他人に過ぎなかったのに、言葉の端々に込められた思いやりは、心からのものだった。
皆が準備を整えた後、一行は飛行場へと向かった。
豪邸のように贅沢なプライベートジェットに足を踏み入れると、夏川雫は田中行との距離をより一層はっきりと感じた。