682.やきもちを焼く

しかし、若い世代のことについて、この老いた身では深く関わりたくないと思っていた。

「分かっています、大奥様。私はちゃんと自分の面倒を見ますから。」

これは夏川雫が初めて藤堂家のお婆様に会った時のことだった。以前は九条結衣からお婆様がとても良い人で、お金持ちの家の奥様なのに、人を見下したりしないと聞いていただけだった。

白石七海のような人とは、全く比べものにならなかった。

今回実際に会ってみて、夏川雫は、お婆様が結衣の話以上に素晴らしい人だと感じた。

彼女にとって、ただの孫の嫁の親友、初対面の他人に過ぎなかったのに、言葉の端々に込められた思いやりは、心からのものだった。

皆が準備を整えた後、一行は飛行場へと向かった。

豪邸のように贅沢なプライベートジェットに足を踏み入れると、夏川雫は田中行との距離をより一層はっきりと感じた。

白石七海の言う通り、彼女が田中行に釣り合うものと言えば、かろうじて整っている顔だけ。でも、彼女が持っているものは、田中行の周りの他の女性たちも持っているし、彼女にないものは、他の女性たちは持っている。

彼女と田中行の間には、天の川が横たわっていて、どんなに必死に渡ろうとしても、それは叶わないことだった。

夏川雫は唇を噛んで、目の奥の暗さを押し殺しながら中に入った。

全員が搭乗した後、九条結衣は客室のドア付近に立っている藤堂澄人に近づき、声を潜めて尋ねた。

「田中行は本当に来ないの?」

彼女はソファに座って雑誌を読んでいる夏川雫をちらりと見て、複雑な表情で藤堂澄人を見つめた。

雫と田中行の件には関わらないと約束したものの、田中行のせいで日に日に痩せていく彼女の姿を見ると、やはり黙っていられなかった。

藤堂澄人は自分の妻が夏川雫のことをこれほど心配する様子を見て、思わず妬ましく感じた。

彼は彼女の手をしっかりと握り、少し意地悪く力を込めて握りしめながら言った。

「夏川雫を心配するように、僕のことも心配してくれたらいいのに。」

九条結衣は「……」

本当に些細なことまで妬くんだから。

九条結衣は呆れたように彼を横目で見ながら言った。「いいわよ。あなたが今度誰か女友達と別れる時があったら、私もこうやって心配してあげるから。」

藤堂澄人は「……」