元々高橋夕の「澄人兄さん」という呼び方に吐き気を催していた藤堂澄人だったが、妻がこのように呼ぶのを聞いて、思わず噴き出してしまった。
長い腕で彼女を抱き寄せながら、眉を上げて尋ねた。「じゃあ、どうしたいの?」
「そうねぇ……この異性を引き寄せる顔を台無しにしちゃおうかしら」
藤堂澄人:「……」
妻が全く心配そうな様子を見せないのを見て、藤堂澄人は目を細め、彼女に更に近づいた。
「君も最初はこの顔に惹かれたんだろう。もし顔を台無しにしたら、君が逃げ出したらどうする?」
それを聞いて、九条結衣は目を伏せて考え込むような仕草をし、少しして言った。「じゃあやめておきましょう。その顔が台無しになったら、私が他のイケメンに目移りしちゃうかもしれないから」
「そんなことさせない」