712.一家揃って詐欺を働く

九条結衣の容赦ない皮肉に、黒崎芳美の目に一瞬の歪みが走った。

高橋洵と結婚してから24年が経ち、高橋洵の娘以外に子供を産んでいなかった。

だから、今の九条結衣の言葉は、まさに彼女の痛いところを突いていた。

この嫁のことをよく知らないとはいえ、黒崎芳美は既にこの嫁のことが非常に気に入らなくなっており、彼女を見る目つきにも批判的な色が加わっていた。

彼女は九条結衣の言葉にすぐには反応せず、代わりに「部外者」である夏川雫の方を向き、先ほど九条結衣を見たときと同じように批判的な目で値踏みするように見た後、高慢な態度で口を開いた:

「あなたは先に行って。私は嫁と話があるの。」

その口調は、クルーズ船で九条結衣に立ち去るように言い、息子と話をしたいと言った時とほぼ同じ態度だった。

九条結衣の表情が一瞬曇り、そして黒崎芳美の態度が馬鹿げていると感じた。

自分の前で姑面をできると思う自信と厚かましさがどこから来るのか分からなかった。

夏川雫も黒崎芳美のこの態度に非常に反感を覚えたが、彼女は藤堂澄人の母親であり、結衣の姑なので、部外者の自分は何も知らないし、むやみに介入するのも適切ではないと思った。

そこで九条結衣の方を向いて言った:「私一人で行くわ。付き添わなくていいから。」

九条結衣は今黒崎芳美と話をしないと収まらないことを知っていたので、無理に夏川雫に付き添うことはせず、彼女に頷いて言った:

「何かあったら電話して。」

「分かった。」

夏川雫が去った後、九条結衣は目を再び目の前の黒崎芳美の顔に向け、言った:「何を話したいの?」

黒崎芳美は九条結衣のこの無礼な態度が気に入らないようで、その言い方を聞いて眉をひそめずにはいられなかった。

「あなたのその態度が気に入らないわ。息子は小さい頃から私のそばにいなかったけど、まさか彼の嫁を選ぶ目がこんなに悪いとは思わなかったわ。」

九条結衣:「……」

常識のある、頭の正常な人間として、九条結衣には想像もつかなかった。どれほど厚かましい人間なら、自分が小さい頃から息子を置き去りにしたことをこんなにも当然のように口にし、しかも自分がまだ息子が最も望む母親だと固く信じているのか。

この謎めいた優越感に、九条結衣は思わず苦笑してしまった。