703.奥さんを怒らせる奴は死ねばいい!

釣り竿を置いて立ち上がると、彼は鋭い目つきで九条結衣を見つめ、低く冷たい声で言った。「お前たち、俺に何を隠してるんだ?」

傍にいた藤堂澄人は、親友が自分の妻に向かって怒鳴るのを見て、すぐに怒り出し、結衣を自分の側に引き寄せて言った。

「何で俺の嫁に怒鳴ってんだよ?夏川雫に聞きに行けよ。ここで物思いに耽ってても誰も構っちゃくれないぞ」

藤堂澄人は声を抑えながら、目に明らかな警告の色を浮かべて言った。「雫が話したくないのは、お前たちの問題だろ。俺の嫁が何で話さなきゃいけないんだ」

何で怒鳴るんだ!

その口調には結衣への徹底的な保護が感じられ、結衣は思わず唇を噛んで笑いを堪えた。一方、田中行は叱られて、怒りなのか焦りなのか、さっきより更に恐ろしい顔つきになっていた。

藤堂澄人は相手にする気なんてなかった。自分の嫁に怒鳴る奴は死ねばいい!