「結衣、顔どうしたの!」
夏川雫は彼女を指差して叫んだが、九条結衣は無視して、お皿の料理を口に運び続けた。
「そういえば、田中行の料理の腕前、なかなかいいわね」
「それは私のよ」
「え?人のこと?それとも料理?」
夏川雫:「……」
最後に、二人とも笑いを抑えきれなかった。
九条結衣は夏川雫の眉間にある緊張が少しずつ解けていく様子を見て、きっと納得したのだろうと思った。
そう思いながら、直接尋ねた。「わかってきた?」
夏川雫の口元の笑みは一瞬凍りついた後、諦めたように溜息をつきながら言った:
「様子を見てからね、一歩ずつ進むわ」
九条結衣は彼女の態度がまだ消極的で迷いがあると感じたものの、以前のように田中行を即座に拒絶するよりはずっとましだった。
「田中行はいい人だと思うわ。見逃さないほうがいいわよ」
夏川雫は冷ややかな目で彼女を見て言った:「そんなに簡単に買収されちゃって。あの醋を飲む人に見つかったら大変よ」
「どうせ聞いてないでしょ」
九条結衣はあっさりと認めた。
夏川雫は九条結衣を見つめ、目の奥に感謝の色が滲んでいた。
実際、彼女の言葉は目が覚めるような一撃で、混沌としていた頭が一瞬にして晴れたようだった。
九条結衣が夏川雫の元に戻ってきてしばらくすると、おばあさまも九条初と九条二郎を連れて戻ってきた。
藤堂澄人と田中行が一緒に戻ってこなかったのを見て、九条結衣は尋ねた:「おばあさま、澄人たちは?」
「澄人は電話を受けて、行と一緒に出かけたわ。私は初を連れて先に戻ってきたの」
もう正午で、太陽が最も強い時間帯だった。
九条初はたくさん食べて眠くなってきたので、おばあさまが休ませに連れて行った。
九条結衣はリビングで少し座っていたが、眠くなってきたので寝室に向かおうとした時、ちょうどドアベルが鳴った。
九条結衣がドアを開けると、外には若い日本人の見知らぬ顔があった。
「九条さんでいらっしゃいますか?」
「はい、そうですが。どちら様でしょうか?」
「九条さん、実はですね……」
島では一定期間ごとに、島のマナーハウスでダンスパーティーが開催される。
世界各地から観光客が訪れるため、特に王室の伝統を持つ国からの観光客は、その王室や国独自のダンスを披露する。