715.これこそ家門の不幸

どうして母親の顔を潰すようなことを、他人に話すことができるのでしょうか。

黒崎芳美は藤堂澄人に対して少し恨みを感じていましたが、今回息子に用事があることを思い出し、怒りを抑えました。

「私が行き過ぎ?あなたは恥知らずなのに、人の目を気にするの?」

九条結衣は冷ややかに笑い、黒崎芳美を見つめながら言いました。「あなたが今回、澄人についてはるばる島まで来た理由は知りませんが、一つだけ言っておきます。彼を利用しようなんて考えないでください!」

黒崎芳美は、不倫のことを義理の娘に暴露されただけでも十分に怒りと恥ずかしさを感じていましたが、九条結衣のその言葉を聞いて、それが図星だったのか、それとも冤罪だと感じたのか、声を一段と高くして——

「勝手な言いがかりはやめなさい。澄人は私の実の息子よ。私が彼を利用するわけがないでしょう。藤堂家にあなたのような離間を図る嫁がいることこそ、家の不幸です。」