744.九条結衣の様子がおかしい

高橋夕と黒崎芳美は美しい容姿をしており、多くの人が二人にダンスを申し込んでいた。

二人は自分たちの心中を悟られたくなかったので、ダンスの誘いがあると、とても喜んで承諾した。

ダンスをしながら、二人の視線は常に九条結衣の方へこっそりと向けられていた。彼女が夏川雫という親友とダンスホールから近くのソファーで普通に談笑しているのを見ていた。

そして彼らから近くにいた鈴木大輔は、この時腕時計を確認し、彼女と目を合わせてこっそりと頷き、パーティー会場を離れて屋敷の上階の部屋へと向かった。

高橋夕の視線は、何度もダンスホールの入り口を見やったが、ずっと待ち望んでいた人は現れず、心の中で少し落胆していた。

澄人はまだ来ないのか?

彼が来なければ、妻が他の男の下で悦びに身を任せる様子を見ることができないではないか?