757.どこからそんな自信が出てきたの

「大丈夫?」

「大丈夫」

藤堂澄人は淡々とした目で九条結衣の顔を一瞥し、彼女の手を引いて二階から足早に立ち去った。

彼の足取りは少し速かった。普段なら彼女と一緒に歩くときは無意識に歩調を合わせていたのに、今回は違った。

九条結衣は彼が怒っているように感じた。それもかなり。

「澄人、待ちなさい!待ちなさい!」

後ろからそう遠くないところで、黒崎芳美の慌てた叫び声が聞こえた。「澄人、私はあなたのお母さんよ。あなたの奥さんにこんな扱いをさせるの?」

「澄人、待ちなさいって言ってるでしょう!澄人、こんな親不孝な息子は天罰が下るわよ。ろくな死に方できないわよ!」

黒崎芳美の呪いの言葉が遠ざかっていく。その一言一言が冷酷で骨身に染みた。九条結衣の表情が一気に冷たくなり、目に鋭い光が宿った。