755.謝罪するなら誠意を見せろ

しかし、高橋夕は違った。

彼女は高橋洵の娘だ。黒崎芳美が高橋夕に取り入ろうとしているのは、本当に取り入りたい相手が高橋洵だからだ。

高橋洵が知ったら、自分の娘が彼女のせいで清らかさを失い、その上濡れ衣を着せられたことを、どうして我慢できるだろうか。

その時、高橋洵が彼女にどうするか、九条結衣にはわからないが、決して軽くは済まないだろう。

高橋洵に懲らしめられることこそ、黒崎芳美にとって最大の打撃となるはずだ。

黒崎芳美は心の中で高橋夕に復讐されることを恐れ、高橋洵に告げ口されることさえ恐れていたが、他に方法がなかった。これが自分にとって最も有利な選択だった。

その時になって高橋洵にどう説明するかについては、彼女なりの言い分があった。どう言っても、彼女と高橋洵の間には二十年以上の付き合いがあり、高橋夕の面倒も見てきたのだから、そこまで冷たくはされないだろう。