782.あなたの戦闘力が低い

しかし、夏川雫が顔を曇らせながら、これらの頭の悪いファンと罵り合って時間を無駄にしているのを見て、九条結衣は心が動かされた。

実際、彼女が藤堂澄人と似ているところは、彼女も友達作りが得意ではないということだ。よく考えてみると、今まで本当に心を開いて付き合えたのは、夏川雫だけだった。

彼女がこうして自分のためにバカどもと罵り合っているのを見て、九条結衣の心は温かくなった。

夏川雫の腕を取りながら言った。「もういいわ。所詮は道化師たちよ。こんな人たちと喧嘩する必要なんてないわ。私を一回罵るごとに10円稼げるかもしれないけど、あなたが私のために罵り返しても、私はお金を払わないわよ。」

元々ネット上のあの知恵遅れたちに腹を立てていた夏川雫も、九条結衣のその言葉に思わず吹き出してしまった。

彼女もこの中にはお金を払って雇われたステマが多いことを知っていた。どんなに道理を説いても、彼らはスポンサーの側に立つだけだ。

でも彼女は、あの頭の悪いコメントを見るとイライラして、見れば見るほど反論したくなった。

この人たちの価値観は犬に食われてしまったのか?

スマートフォンをバッグに投げ入れながら、九条結衣を見て鼻を鳴らし、「知らないわ。私は一回のコメントで100円よ。さっき100回投稿したから、早くお金を払って。」

九条結衣がバッグから1000円札を取り出して彼女の手に押し付けるのを見て、「はい、これで終わり。あなたの戦闘力は低すぎるから、もう雇用する気はないわ。」

夏川雫も遠慮なく1000円を受け取り、バッグにしまった。九条結衣がネット上の出来事を全く気にしていない様子を見て安心し、言った:

「ねぇ、高橋夕はこんな投稿を何がしたいの?ネットユーザーが騒ぎ立てれば、藤堂澄人があなたを捨てて彼女と結婚すると思ってるの?」

九条結衣は首を振った。彼女も高橋夕がこれらの投稿で何をしたいのか分からなかった。

島主を怒らせるのが怖くないのか?

それとも、あの夜の出来事の後、高橋夕は開き直って、もう何も気にしなくなったのか?

「もしかしたら高橋夕の投稿じゃなくて、誰かが高橋夕を狙っているのかもしれない。」

「どういう意味?」