そしてこの推測は非常に合理的で、ほとんどのネットユーザーが同意していた。
もしこれが偶然だとしても、もう一枚の写真では、九条結衣と高橋夕がビーチに立っていて、九条結衣が鈴木大輔を殴っていた。
高橋夕が高橋洵の娘だということを知っている人は少なかったが、女優として、高橋夕とプレイボーイの鈴木大輔が親しい仲であることは周知の事実だった。
そのため、事情を知らない人々は、九条結衣が鈴木大輔を平手打ちしたのを見て、鈴木大輔が高橋夕のために発言したことに腹を立てて殴ったのだと思い込んでいた。
ネットユーザーは元々ゴシップが好きで、特に大スターと大富豪のゴシップとなると、彼らは富豪と女優が本当に関係を持っていると信じたがった。
女優が第三者で、富豪の正妻が直接出向いて愛人を懲らしめる―このゴシップは、どう見ても正妻と愛人の、どちらが勝つか負けるかの話だった。
そして高橋夕のファンたちは、まるでカルト教団のようで、たとえ彼らの推しが愛人だとしても、九条結衣という正妻が過剰に反応し、アイドルの前で威張るべきではないと考えていた。
高橋夕のファンには、自分を特別だと思い込んでいる「面食い」というファン名があった。
「面」は高橋の「高」と同じ意味で、高橋夕とその美貌だけを愛するという意味が込められていた。
――あのおばさん、ひどすぎる。どうして私たちの夕をこんなに虐めるの?
――ブス女、自分の旦那の心も掴めないくせに、私たちの夕に何の用があるの?
――「面食い」のメンバーを甘く見ないでよ。もし夕をいじめ続けるなら、ただじゃ済まないわよ。
――男の心を掴めないなら、浮気性を責めないで。私たちの夕はこんなに美しいんだから、藤堂社長が浮気するのも当然よ。
……
このような頭のおかしいコメントはまだまだあり、常識のある人々は怒り心頭で、一言反論すると、すぐにそれらの狂信的なファンの言葉の洪水に飲み込まれてしまった。
――藤堂社長と夕は真実の愛!愛されていない方こそが第三者よ!
――藤堂社長と夕を応援します。ブス女が藤堂家から追い出されたら、夕が正式に藤堂家の若奥様になるの。甘い報告を待ってます!