786.脳なしの泥棒女

案の定、植田涼がそう言い終わると、藤堂瞳は冷笑して言った：

「表向きはほとんど会ってないように見えるけど、裏でどれだけ会ってたかなんて、あなたたちの言い分次第でしょう？」

「藤堂瞳」

植田涼が口を開く前に、九条結衣が無関心そうに口を開いた。

この藤堂瞳という頭のおかしい女とは、これからの接点がますます少なくなり、顔を合わせても話すことなどないだろうと思っていた。

しかし彼女は気づいた。藤堂瞳というこの頭のおかしい女には、人を無視したくても無視できないほど腹立たせる十分な才能があることを。

「わがままと理不尽な騒ぎ立ては別物よ。以前のあなたのわがままは、周りの人が許容できたかもしれないけど、でもあなたが泥棒女のように無いことを作り出して、理不尽な騒ぎを起こすなら、いつか必ずその報いを受けることになるわ」

「九条結衣、あなた私のことを泥棒女って呼んだの？！」

九条結衣：「……」

傍観者たち：「……」

この藤堂瞳は頭がおかしいんじゃないか、要点も掴めないなんて。

九条結衣は彼女と無駄な話で時間を浪費したくなかった。彼女が植田涼と関係があると言い張るのは、何か勘違いをさせるようなことがあったのかもしれない。

しかし考えてみても、彼女は植田涼とほとんど言葉を交わしたことがない。一体どこからそんな勘違いが生まれたのか。

「あなたは私と植田涼に関係があると言い張っているけど、私たちは一体どんな道徳に反することをしたというの？」

もし他の場所であれば、九条結衣は本当に藤堂瞳と一言も無駄話をしたくなかったかもしれない。しかし目の前の状況では、これだけ多くの人が見ている中で、藤堂瞳がはっきりと説明しないと、彼女も植田涼も、藤堂瞳が投げかけたこの汚い水のせいで面倒に巻き込まれることになる。

「藤堂瞳、これまであなたの夫があなたにどう接してきたか、あなた自身が誰よりもよく分かっているはず。でも彼があなたのわがままを無条件で許容してきたことは、あなたが事を荒立てていい理由にはならないわ。私に汚い水を掛けるのは、あなたが私のことを嫌いだからだと理解できる。でもあなたの夫として、植田涼はあなたに対して何も悪いことはしていない。彼にこんな汚い水を掛けて、本当に良心が痛まないの？」