800.この薄情な女

彼の腕の中の九条結衣は、気にも留めずに軽く鼻を鳴らした。「ネットではみんなそう言ってるわ」

この時の藤堂澄人は、思わず心の中で助けを求める投稿をした——

最近、妻がますます茶目っ気たっぷりになってきた。以前のクールな彼女はどこへ行ってしまったのか?急いでます、課金して解決策求む。

でも、それはそれとして、妻が自分の前でますます子供っぽくなっていくのを見て、藤堂澄人の心は誰よりも嬉しかった。

これは妻が彼をますます信頼し、彼の前でますますリラックスし、自然体になってきているということだ。

「そうそう」

九条結衣は突然何かを思い出したように、彼の腕の中で顔を上げて言った。「来週の月曜日に外公の八十歳の誕生日があるんだけど、C市に行く時間作れる?」

「来週の月曜日?」

藤堂澄人は一瞬固まり、目に複雑な色が浮かんだ。

九条結衣は彼の様子がおかしいのを見て、「どうしたの?スケジュール調整できない?できなくても大丈夫よ、外公は気にしないから」と言った。

「そういうわけじゃない」

藤堂澄人は首を振り、心の中でため息をついた。

ただ...来週の月曜日は偶然にも彼の誕生日で、九条初を祖母に預けて、妻と二人きりで過ごし、妻に誕生日を祝ってもらおうと早々に計画を立てていたのだ。

まさかこんな偶然が重なるとは。小林お爺さんも来週の月曜日が誕生日とは。あれは義理の母の実の父で、妻の外公だ。行かないわけにはいかないだろう。

妻の表情を見ると、来週の月曜日が彼の誕生日だということを明らかに覚えていない。

はぁ~~

藤堂澄人の心には少なからず失望が忍び寄った。

「外公は書画が好きだって聞いてるから、明日一緒に骨董品店に行って、外公の好きな書家の作品が見つかるか探してみよう」

「うん、ありがとう、だんな様」

九条結衣は顔を近づけてキスをしたが、藤堂澄人がさらに進もうとした時、すぐに身を引き、目に明らかな得意げな笑みを浮かべた。

藤堂澄人は呆れたように彼女を睨みつけ、冷ややかに鼻を鳴らした。「今は具合が悪いからって許してるけど、覚えてろよ」

週末は、街の車や人の流れも平日より多かった。

珍しく今日は妻と一緒に買い物に出かけたので、運転手が二人を目的地まで送った後、藤堂澄人は運転手を帰らせた。