藤堂澄人「……」
嫁さんが怖すぎる。これからはちゃんと良い人になろう。
「はい、全部あなたの言う通りにします」
藤堂澄人は機嫌を取るように九条結衣を抱きしめ、身を屈めて彼女の頬にキスをした。「僕が良い子にしていたら、何かご褒美くれる?」
「罰がそんなに厳しいなら、ご褒美も相応のものじゃないとね」
藤堂澄人は笑顔で九条結衣を見つめながら、さらに甘えた。
九条結衣は彼を見て眉を上げ、何かを思いついたように目元に笑みを浮かべ、彼の腕に手を回して言った。
「女の子を産んであげるのは、大きなプレゼントになるかしら?」
藤堂澄人の目が輝いた。「もちろん、それは最高のプレゼントだよ。僕にとっては何物にも代えがたい宝物だ」
女の子を産むという話題に、藤堂澄人の目は一瞬にして喜びに満ちた。
「でも……」
藤堂澄人は少し悩ましげに九条結衣の平らなお腹を撫でながら言った。
「こんなに頑張ってるのに、どうして来てくれないんだろう?」
それを聞いて、九条結衣は目を伏せ、その瞳に狡猾な笑みが一瞬よぎった。顔を上げた時には、その狡猾さは既に消えていた。
「もしかして、頑張りすぎて...もう駄目なのかも?」
男が自分の妻に駄目だと言われるのは、とてつもない屈辱だ。すぐさま九条結衣を抱き上げ、大股でベッドへと向かった。
「こんな時に旦那の能力を疑うのは、お仕置きが必要だぞ。分かってる?」
彼は九条結衣をベッドに投げ出すと、シャツのボタンを外し始めた。九条結衣は今日の検査結果を思い出し、急いで許しを乞うた。
「もういいわ、分かったわ。あなたは大丈夫よ。冗談よ」
「今更謝っても遅いぞ」
藤堂澄人はそんな言い訳は通用しないと、彼女の服のボタンに手をかけた。
「だめ、この数日間はだめ!」
九条結衣は急いで自分の襟元をしっかりと掴み、可愛らしく哀願するような目で彼を見つめ、甘えるように「だーりん」と呼んだ。
藤堂澄人は九条結衣のこの呼び方が一番苦手だった。こう呼ばれると、膝から力が抜けてしまう。
彼は目を細め、九条結衣にはその意味が完全に分かる欲望の色を瞳に宿しながら、軽く笑って自分のシャツの襟を強く引っ張り、小麦色の胸元とセクシーな鎖骨を露わにした。
「さっきそう呼ばなければ見逃してやれたのに。でも今は...」