黒崎芳美は高橋夕が九条結衣を嫉妬して顔を歪めている様子をしばらく楽しげに眺めた後、言った:
「明後日は小林お爺さんのお誕生日だから、急いで少し重みのある贈り物を選びましょう。少なくとも、九条結衣には負けられないわ」
彼女はこの厄介者に対する嫌悪感は九条結衣に対するものと同じくらい強かったが、比較すると、この厄介者が息子と結婚できれば、彼女にとってはより有利だった。
九条結衣のような女は、姑である彼女を全く眼中に入れていない。そんな女を息子の嫁にするわけにはいかなかった。
この厄介者は違う。彼女のおかげで澄人と結婚できるのだから、姑である彼女に対して無礼な態度は取れないはず。それに、高橋は娘が藤堂家に嫁げるように手助けしてくれたことを知れば、きっと彼女を見直すに違いない。