852.痛いところを突く

自分が九条結衣の前で受けた屈辱と恥辱に加え、彼は九条結衣という娘を心底憎んでいた。小林静香にこんな生まれてこなければよかったような下種を孕ませなければよかったとさえ思っていた。

今や、彼女は九条グループを去り、彼は彼女の支配から何とか逃れることができた。まるで人生の大半を過ごしてようやく新鮮な空気を吸えるようになったかのような感覚に、九条政は一気に若返ったような気分になった。

九条結衣という悪魔が自分にどんなことをしたのか、もう少しで忘れるところだった。

今、九条結衣が彼の「初恋の人」をこのように扱うのを見て、心の中の怒りが一気に沸き上がった。

「何がどうしたこうしたの物だと言うんだ。彼女はお前の継母だぞ」

九条政がこのように愛人のために急いで立ち上がる様子を見て、その場にいた人々は思わず心の中で白眼を向けた。

九条政のこのような理不尽な言動は、すでに上流社会の間で広く知れ渡っていた。

愛人と私生児を連れて至る所で目立とうとし、今や離婚したことで、さらに遠慮がなくなった。

確かに彼は離婚したのだから、誰と付き合おうが、誰を後妻に迎えようが関係ないが、愛人を守るために何度も自分の娘を攻撃するような行為は、あまりにも筋が通らなさすぎた。

特に愛人を連れて元義父の誕生日パーティーに来るなんて、彼は一体何を考えているのか分からなかった。

前妻を刺激するためか、それとも元義父を刺激するためか？

人々は九条政の行為を不適切だと感じると同時に、小林の両親にも少し同情の念を抱いた。

九条結衣は眉を上げ、「九条社長、こんなに時間が経っているのに、まだ自分の立場がはっきりしていないんですね？私の目には今やあなたは何の価値もない存在ですが、仮に私があなたを父親だと思っているとしても、この程度の女がいつから私の継母になったんですか？」

九条結衣は、すでに顔を歪ませて怒り出した木村富子を指さしながら、眉を上げた。

手で何気なく自分のこめかみの髪をかき上げながら、言った。「私は情報通なんです。特に九条社長に関することは、いつも欠かさずチェックしていますよ」

そう言うと、彼女の目が冷たくなり、眼底に突然冷気が生まれ、九条政は思わず身震いし、心に不安が芽生えた。

どういうことだ？あの小娘は既に株式を全部売り渡したはずじゃないか？