周りの見物人たちは、この一家にすっかり呆れ果てていた。他の人なら、端渓硯が偽物だと判明した時点で立ち去っているはずなのに、わざわざ自ら恥をかきに来るとは。
こんな大恥をかいた高橋さんは、しばらくの間、人前に顔を出せないだろう。
幸い高橋洵はまだ体面を保っており、この状況では居られるはずもなく、小林静香を指差して「人を侮り過ぎる」と罵って立ち去った。
高橋洵が去ったので、黒崎芳美と高橋夕も居づらくなり、この機会に追いかけて出て行った——
「高橋!」
「お父さん!」
「……」
この一家が去って、誕生会はようやくすがすがしい雰囲気になった。
この二つの大笑い話のおかげで、宴会が始まるまでの待ち時間も全く退屈ではなかった。
木村富子はこのような結果になるとは思わず、失望すると同時に、少し気まずく感じ、小林静香が怒りを自分に向けるのではないかと恐れていた。