次の瞬間、小林静香の顔から笑みが消え、優しい表情に断固とした威厳が加わった。「小林先生」という言葉には皮肉が滲み出ていた。
高橋洵と高橋夕の態度を見れば、全てが明らかだった。
高橋家の娘が九条お嬢様を陥れようとしたことは、その顔に明白に書かれていた。
最初は監視カメラがないと思って人を陥れようとしたのに、今は監視カメラを確認すると聞いて震え上がっている。
なんとも面白い一家だこと。
娘が他人に押しつけても相手にされないだけでなく、こんな下劣な手段で人を陥れようとして、結局は自分の首を絞めることになった。
さらに重要なのは、200円程度の品で見栄を張ろうとしたことだ。
これで、人々の高橋洵に対するわずかな好感も反感と軽蔑に変わり、この一家と関わることさえ恥ずかしく感じるようになった。