しかし、藤堂澄人が藤堂グループの株式の50パーセントを握っているため、これらの人々が市場や他の株主の株式をすべて買い取ろうとしても、せいぜい九条結衣の持ち株と同等になるだけだった。
だから、藤堂家からこれほど大きな藤堂グループを飲み込もうとしても、実際にはその力はなかった。
今回の藤堂グループの株価暴落に乗じて、取締役会のメンバーに強制的な資金調達を働きかけ、藤堂澄人の持ち株を希薄化させようとする者もいた。
一旦藤堂澄人の株式が減少すれば、彼らは資金調達会社から株式を買い戻し、それによって少しずつ藤堂グループを飲み込むことができる。
彼らがそれほど自信を持っているのは、藤堂澄人が生還する可能性がないと確信しているからだ。藤堂家には今や七、八十歳のお婆様と、九条家出身の妻である九条結衣しかいない。