しかし、取締役会長は依然として株主の投票が必要で、はっきり言えば、彼らの投票によって選出されるのです。
誰も藤堂澄人に逆らう勇気がなく、藤堂澄人は藤堂グループの絶対的な支配権を持っているため、会長の座は言うまでもなく藤堂澄人のものでした。
しかし今は違います。藤堂澄人が失踪し、藤堂グループは群龍無首の状態です。
藤堂澄人は突然の事故に遭い、遺体は見つかっておらず、正式に死亡宣告もされていないため、当然遺産相続の問題は発生しません。
つまり、九条結衣は藤堂澄人の妻である以外、藤堂グループとは何の関係もないということです。
これが田中真斗が九条結衣に対してそれほど堂々と接することができる理由です。
しかし、九条結衣が会長職ではなく、藤堂グループの筆頭株主としての権利を主張すると聞いて、田中真斗の眉間がピクリと動きました。