905.弱み

「それに、私があなたを処分する時が来たら、藤堂グループから一銭も得られないようにしてやるわ」

この恐ろしい言葉を残し、彼女は夏川雫と共に立ち去った。残された人々は八つ先を見るような顔で、先ほど九条結衣が言及した「息子」が藤堂澄人なのかどうかを推測し始めた。

高橋奥様と藤堂澄人が本当に母子関係にあるのかどうか。

あるいは、九条結衣が言及した「息子」は別の誰かを指しているのか。

九条結衣が去ると、通りかかった数人の記者が集まってきて、スマートフォンとレコーダーを黒崎芳美に向けて質問を投げかけた。

「高橋奥様、先ほどの藤堂奥様とのいざこざは藤堂社長に関することでしょうか?あなたは藤堂社長の母親なのでしょうか?藤堂奥様が『息子の死を願っている』と言っていましたが、それは藤堂社長のことですか?」