「本当に痛くないの?」
「痛くないわよ!」
藤堂澄人がまた尋ねたのを見て、九条結衣は恥ずかしさと怒りで目を上げて彼をにらみつけた。
「じゃあ、あの日の続きをしようか。もう何日も……」
「出てけ!」
やっぱりこの畜生に策略にはまってしまった。
記憶を失っても、人を手玉に取る能力は相変わらず凄まじい。
九条結衣は腹立たしく、再び手を伸ばして彼の腰を二度つねった。
藤堂澄人は避けるどころか、色っぽい声を漏らした。
九条結衣:「……」
手を彼の腰から引こうとした時、藤堂澄人に掴まれてしまった。
「何するの?」
九条結衣は彼の目に浮かぶ熱い視線を見て、不機嫌そうに言った。
「別の場所をつねって」
九条結衣:「……」
なんてふざけた奴!
九条結衣は無視して、彼の手のひらから力強く手を引き抜いて言った: