1000.また島主に策略にはまった

「本当に痛くないの?」

「痛くないわよ!」

藤堂澄人がまた尋ねたのを見て、九条結衣は恥ずかしさと怒りで目を上げて彼をにらみつけた。

「じゃあ、あの日の続きをしようか。もう何日も……」

「出てけ!」

やっぱりこの畜生に策略にはまってしまった。

記憶を失っても、人を手玉に取る能力は相変わらず凄まじい。

九条結衣は腹立たしく、再び手を伸ばして彼の腰を二度つねった。

藤堂澄人は避けるどころか、色っぽい声を漏らした。

九条結衣:「……」

手を彼の腰から引こうとした時、藤堂澄人に掴まれてしまった。

「何するの?」

九条結衣は彼の目に浮かぶ熱い視線を見て、不機嫌そうに言った。

「別の場所をつねって」

九条結衣:「……」

なんてふざけた奴!

九条結衣は無視して、彼の手のひらから力強く手を引き抜いて言った: