書斎でその上杉叔父さんと10分ほど話をした後、上杉叔父さんは九条家を後にした。
そして九条結衣は、上杉叔父さんから渡された書類を持って自分の寝室に戻った。
封筒の中から数枚の書類と写真を取り出して注意深く見た後、彼女の視線はある写真の一点に固定された。
彼女はその写真の一点を長い間見つめ、何かを思い出そうとしているようだった。しばらくして、彼女の目が徐々に冷たくなっていった。
書類と写真を封筒に戻すと、寝室に隣接する自分の書斎へ向かった。
パソコンを開き、次の計画に取り掛かり始めた。
木村靖子、山田花江……
九条結衣は椅子の背もたれに寄りかかり、藤堂澄人の記憶喪失のことをまだ考えていた。
真の黒幕を捕まえるには、おそらく山田花江よりも木村靖子の方から手をつける方が、はるかに容易だろう。
彼女は書斎で長い間作業をし、夕食の時間になってようやく階下に降りた。
「ママ!」
九条初は九条結衣を見て嬉しそうに、曾祖父の膝から飛び降り、九条結衣の方へ走っていった。
ママとお兄ちゃんと一緒に九条家に来ていた九条二郎も、ふわふわの尻尾を嬉しそうに振りながら、九条初の後を追って九条結衣の方へ走っていった。
九条初はママのお腹に妹がいることを知っていたので、激しく突っ込むことはせず、ママの前で立ち止まった。
九条二郎は大胆で、何も言わずにすぐさま九条結衣の肩に飛び乗り、九条初は慌てて大声で叫んだ。
「二郎、気をつけて!ママのお腹に赤ちゃんがいるんだよ。妹を傷つけたら、こぶたに言いつけるからね!」
九条結衣は息子のそんな甘えた声で怒る姿に笑みがこぼれた。
小さな頭を上げ、可愛らしい鼻をちょっと皺めながら、九条結衣の肩の上の九条二郎を見て、大きな声で言った:
「早く降りなさい。こぶたに電話しちゃうよ。こぶたの奥さんをいじめたって言いつけるからね。」
九条結衣:「……」
九条二郎は九条初の言葉を理解したようで、叱られた後、数秒間迷った末、九条結衣の肩から飛び降りた。
ぷりぷりとした小さなお尻を振りながら九条初の側に行って大人しく座った。
ピンク色の肉球で九条初の足を優しく叩き、お兄ちゃんに叱られないよう機嫌を取るかのようだった。
九条結衣は目の前の兄弟を見つめ、その柔らかくて愛らしい様子に、彼女の眼差しも柔らかくなっていった。