書斎でその上杉叔父さんと10分ほど話をした後、上杉叔父さんは九条家を後にした。
そして九条結衣は、上杉叔父さんから渡された書類を持って自分の寝室に戻った。
封筒の中から数枚の書類と写真を取り出して注意深く見た後、彼女の視線はある写真の一点に固定された。
彼女はその写真の一点を長い間見つめ、何かを思い出そうとしているようだった。しばらくして、彼女の目が徐々に冷たくなっていった。
書類と写真を封筒に戻すと、寝室に隣接する自分の書斎へ向かった。
パソコンを開き、次の計画に取り掛かり始めた。
木村靖子、山田花江……
九条結衣は椅子の背もたれに寄りかかり、藤堂澄人の記憶喪失のことをまだ考えていた。
真の黒幕を捕まえるには、おそらく山田花江よりも木村靖子の方から手をつける方が、はるかに容易だろう。