072 道乃漫に疑われることなく、神崎創映の面接に行かせる

夏川清未は我慢できなくなり、笑いながら追い払った。「もういいわ、もういいわ。漫、早く彼を連れて行って。このまま話を続けさせたら、私の傷が笑いで裂けちゃうわ」

瑭子はこの機会を利用して、道乃漫を外に呼び出した。

「これは前回あなたが調べてほしいと言った柳澤木森の資料よ。警察の知り合いから取り寄せたの。記録そのものは渡せないけど、中身については教えてもらえたわ」柳澤木森はただのチンピラで、大した人物でもないから、情報を漏らしても問題なかった。

「ありがとう。本当に助かったわ」道乃漫は資料を受け取ったが、すぐには見なかった。

「いいのよ!」瑭子は気にせず言った。「そんなに気を遣わないで。そうそう、最近就職活動がうまくいってないみたいだけど、その理由も分かったわ」

そう、道乃漫も早くから何かおかしいと感じていた。

彼女が応募したのは相変わらず映像制作会社や芸能事務所関連の職位だった。

どんなに不景気でも、一社も採用してくれないなんてあり得ない。

だから、瑭子に事情を探ってもらうことにした。

芸能記者として、瑭子のこの業界での情報網は侮れないものだった。

案の定、答えが出てきた。「あなたのバカ父親のせいよ」

瑭子は言い終わると、申し訳なさそうに笑った。「こんな言い方して、悪いわね」

道乃啓元がどうあれ、道乃漫の実の父親で、彼女を産み育てた血のつながった親なのだから。

このような言い方は確かに適切ではない。

でも瑭子には我慢できなかった。道乃啓元のような父親なんて見たことがない。

道乃漫は自嘲的に笑った。「気にしないで。こう言うのは不孝かもしれないけど、私は他人が彼のことを悪く言っても気にならないわ」

「じゃあ、これからは遠慮なく悪口言わせてもらうわ」瑭子は気楽に言った。「今回あなたが就職できないのは、道乃啓元の仕業よ。あなたの家のロードスターも、道乃琪のためにお父さんが作ったファーストロード文化も、かなりの人脈があるの。特にあなたが応募している芸能事務所や映像制作会社なんかは、ファーストロード文化の方がもっと多くの知り合いがいるわ。全部の会社に話を通して、あなたを採用しないように頼んだの。彼らにとっては互いに助け合う些細なことで、何の損もないから、みんな承諾したのよ」