夏川清未は我慢できなくなり、笑いながら追い払った。「もういいわ、もういいわ。漫、早く彼を連れて行って。このまま話を続けさせたら、私の傷が笑いで裂けちゃうわ」
瑭子はこの機会を利用して、道乃漫を外に呼び出した。
「これは前回あなたが調べてほしいと言った柳澤木森の資料よ。警察の知り合いから取り寄せたの。記録そのものは渡せないけど、中身については教えてもらえたわ」柳澤木森はただのチンピラで、大した人物でもないから、情報を漏らしても問題なかった。
「ありがとう。本当に助かったわ」道乃漫は資料を受け取ったが、すぐには見なかった。
「いいのよ!」瑭子は気にせず言った。「そんなに気を遣わないで。そうそう、最近就職活動がうまくいってないみたいだけど、その理由も分かったわ」
そう、道乃漫も早くから何かおかしいと感じていた。