受付嬢はようやくためらいながら言った。「彼女は広報部に応募したようです。」
道乃啓元は頷き、すぐに広報部へ向かおうとしたが、受付嬢に止められた。「予約はありますか?」
「ある。10時半に制作部のマネージャーと面会の約束がある。」
受付嬢は確認した後、やっと彼らを通した。
「お父さん、もしお姉さんがここで働くことになったら、叔母の治療費のために私たちのお金を使わなくて済むけど、そうしたら彼女は私たちをもっと見下すようになるんじゃない?」エレベーターの中で道乃琪が道乃啓元に言った。
道乃啓元は広報部のある階のボタンを押し、冷たい声で言った。「だから、彼女を順調に入社させるわけにはいかない。ここで働きたいって?そう簡単にはいかないよ!」
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「神崎若様。」神崎卓礼が会議室から出てくるのを見て、藤井天晴は後を追いかけた。「先ほど道乃漫が面接に来て、採用が決まりました。」