057 自分の面子を保て

誰かが入り口で立ち止まっているのを見て、道乃漫は慌てなくなり、夏川清未の世話を済ませてから、また入り口へ向かった。

「あなたたちは?」道乃漫はその二人のボディーガードに尋ねた。

「道乃さん、私は周村成辉で、こちらは篠崎汇人です。私たちは神崎若様があなたを守るために残した者です。神崎若様は、まだ諦めきれない人が来て邪魔をするのを心配されているのです」と周村成辉は言った。

傍らで道乃啓元は、彼らが神崎卓礼の部下だと聞いて、息を飲んで固まり、疑いの目を向けた。

道乃漫も心の中で驚いていた。神崎卓礼は一体何を考えているのだろうか?

わざわざ二人を残して守らせるなんて。神崎卓礼が二度も助けてくれたとはいえ、彼が善意で理由もなく人を助けるような人だとは思えなかった。

それに、前世で聞いた神崎卓礼の噂は、どれも善意とは程遠いものばかりだった。