109 神崎卓礼は彼女の唇から取った米粒を自分の口に入れた

道乃漫は身動きが取れなくなり、実際、このように神崎卓礼と過ごす機会があり、こんなに近くにいられるのだから、道乃漫でさえも自分の心を抑えきれなかった。

自分へのご褒美だと思うことにした。

「道乃漫」息苦しい静寂の後、神崎卓礼の声が突然隣で響いた。

「え?」道乃漫が振り向くと、神崎卓礼の指が彼女の唇に触れた。

ミントの香りがして、少し粗い指の腹が彼女の唇を撫でると、唇がすぐにしびれた。

そして、神崎卓礼が手を引くと、指先に一粒のご飯粒があった。

「唇についていたよ」神崎卓礼は平然と説明した。

続いて、道乃漫は目の前で神崎卓礼が彼女の唇から取ったご飯粒を、自分の口に入れるのを見た。

道乃漫の頭の中で「ドーン」という音が鳴り、完全に動揺してしまった。

さっきまでは偶然だったとしても、今度はそうじゃないでしょう!