156 彼女は永遠に私の敵にはなれない

「道乃漫」大澤依乃は笑顔で彼女を引き止めた。「あなたの企画書はどうなの?通過する自信ある?」

「念のため、二つの企画書を用意したの。一つはパソコンに保存してあって、私が一番気に入ってるやつ。もう一つは先ほど提出した初稿よ。一番気に入ってた方は見つからなくなってしまったから、仕方なく、次善の策として、もう一つの方を使うしかなかったわ」道乃漫は気が乗らない様子で、明らかに先ほど提出した企画書に満足していなかった。

大澤依乃の目が輝いた。「つまり、パソコンにあった企画書は、先ほど提出したものとは違うってこと?」

道乃漫は何も答えなかったが、大澤依乃はそれを肯定と受け取った。

すぐに安堵のため息をついた。

葉月星は、道乃漫が大澤依乃と話している間に、ウイルスの入ったUSBメモリを取り戻そうとした。