いつもは賢い少女なのに、今は反応の仕方がわからず、黙り込んで、最後には彼の肩に顔を埋めて、ただ呼吸するだけだった。
しばらくして、道乃漫は彼をつついた。「もういいでしょう。」
神崎卓礼は歯を食いしばり、彼女の首筋に強くキスをしてから、お尻を軽く叩いた。「そんなに私を追い出したいの?」
道乃漫は顔を赤らめて黙っていた。彼女には恋愛経験がほとんどなかったのだ。
加藤正柏とは幼なじみだったが、子供の頃にそんなことがわかるはずもない。
加藤正柏は彼女の人生で最初の異性で、彼に対しては、道乃家での息苦しい生活から逃れるための生存空間を求め、彼を救いとして見ていたのかもしれない。
幼い頃から知り合い、自然と恋人関係になった。
しかし実際には、恋人同士の親密さは持ち合わせていなかった。