207 証拠はどこだ?

武田立则は広報部に戻り、重々しい声で言った。「葉月星、私の事務所に来なさい」

葉月星の心臓は「ドキッ」と鳴り、もはや自分を慰めることはできなかった。きっと自分のやったことで処分されるのだと思った。

葉月星は不安げに立ち上がり、自分を励ました。

もしそうなら、会社に証拠がないと言い張ろう。何の根拠で処分できるというのだ!

道乃漫の席を通り過ぎる時、葉月星は道乃漫を険しい目つきで睨みつけた。

覚えておけ!

武田立则の事務所の前まで来ると、葉月星はドアをノックした。

「入りなさい」武田立则は冷たい声で言った。

葉月星は不安そうに事務所に入り、ドアを閉め、おずおずと武田立则の机の前に立ち止まった。「部長、何かご用でしょうか?」

「今朝の噂は君がやったことだと会社は既に把握している。だから処分が決まった。即刻解雇だ。すぐにメールが届くはずだ。前もって言っておくのは、心の準備をしておいてもらうため。メールを受け取った時にあまりにも驚かないように」武田立则は葉月星の顔から血の気が徐々に引いていくのを見ていた。