腰に回された大きな手は石のように重く、まったく動かなかった。
彼女が動くと、逆に彼の体に擦り寄せてしまった。
すぐに、神崎卓礼の抑えた息遣いが聞こえた。「動かないで、もう我慢するのが限界だ」
道乃漫:「……」
そんなに辛いなら、私を抱き寄せなければいいのに!
自分で面倒を招いているだけじゃない?
心の中で文句を言いながらも、道乃漫はもう動けなかった。
両手を彼の胸に当て、むなしくも1ミリメートルでも距離を開けようとした。
しかし、彼女の柔らかい手のひらが彼の胸に触れると、その柔らかな感触が彼をさらに苦しめた。彼女の手のひらから伝わる熱と、わずかな汗の湿り気が、彼女が今とても緊張していることを物語っていた。
初めて会った時は妖女のように彼を誘惑した少女が、今は緊張しているなんて。
神崎卓礼は口角に軽い笑みを浮かべ、暗闇の中で彼女の高い鼻先を見つけ、軽くキスをした。
彼女の鼻先から、少し上がった唇珠を正確に見つけ出した。
神崎卓礼は、道乃漫のこの唇がキスにぴったりだと密かに思っていた。
唇の厚みは程よく、とても柔らかく、少し上がった唇珠は彼が含むのにぴったりだった。
道乃漫の唇は神崎卓礼の息遣いで満ちていて、眠れないけれど完全に目が覚めているわけでもなかった。
神崎卓礼の手が至る所で火をつけるように触れていく。
道乃漫は居心地悪そうに固まり、息も止まったように、少しも吐き出せなかった。
下腹部が思わず引き締まり、緊張で小刻みに震えていた。
彼の胸に当てていた両手は、いつの間にか拳を握り、彼のワイシャツを掴んで震えていた。
神崎卓礼は口の中が乾き、熱くてたまらなかった。
突然腕に力が入り、緊張した唇が道乃漫の唇を捉え、体を翻して彼女を押し倒した。
彼の唇は驚くほど熱く、彼女の唇から下へと絶え間なく移動していった。
下腹部まで来て、もう限界を超えそうになった時、突然止まった。
下腹部にはまだ彼の熱い息遣いを感じることができた。突然、彼が深く息を吸い込むのが聞こえ、神崎卓礼は体中の力が入ったまま横になり、道乃漫を抱き寄せて「寝よう」と言った。
道乃漫は、ここまで来ても彼が止められるとは思わなかった。
心の中でどんな感情なのか言い表せないが、とても温かく、感動した。