腰に回された大きな手は石のように重く、まったく動かなかった。
彼女が動くと、逆に彼の体に擦り寄せてしまった。
すぐに、神崎卓礼の抑えた息遣いが聞こえた。「動かないで、もう我慢するのが限界だ」
道乃漫:「……」
そんなに辛いなら、私を抱き寄せなければいいのに!
自分で面倒を招いているだけじゃない?
心の中で文句を言いながらも、道乃漫はもう動けなかった。
両手を彼の胸に当て、むなしくも1ミリメートルでも距離を開けようとした。
しかし、彼女の柔らかい手のひらが彼の胸に触れると、その柔らかな感触が彼をさらに苦しめた。彼女の手のひらから伝わる熱と、わずかな汗の湿り気が、彼女が今とても緊張していることを物語っていた。
初めて会った時は妖女のように彼を誘惑した少女が、今は緊張しているなんて。