それだけではなく、胸がちょうど彼の顔に当たってしまった。
神崎卓礼は絶妙なタイミングで顔を埋めた。
道乃漫は顔を真っ赤にして、両手でベッドを押して起き上がろうとした。
しかし、神崎卓礼の腕の力には抗えなかった。
しばらくして、胸が熱くなりすぎて、やっと解放された。
長い腕を伸ばして、彼女の携帯を取った。
着信音を消し、時間を確認すると、まだ5時30分だった。
神崎卓礼は眉をひそめ、「こんなに早く起きるの?」
「そうなの。」道乃漫はようやく自由になり、起き上がった時、まだ体中が落ち着かず、熱くてたまらなかった。
胸にはまだ彼の熱い温もりが残っているようだった。
「撮影現場ってこんな感じなの。朝から私のシーンがなくても、早く行って、メイクして、ヘアセットして、それから待機して、いつでも準備できる状態でいなきゃいけないの。私のシーンがいつ来るかわからないから。各シーンの時間や順序は固定されてないの。天候とか環境とか、いろんな要因で変わることがあるから。」道乃漫は説明した。