299 僕の漫ちゃんは本当に賢い

柳澤叔母も神崎卓礼が来ていることを知っていたようで、朝食を二人分持ってきてくれた。

朝食を届けると、柳澤叔母は帰っていった。

道乃漫がテーブルに朝食を並べると、神崎卓礼が近づいて座り、また尋ねた。「そうだ、どの学校に行くか考えてみてくれ。今、演技を教えている最高の学校は二つあって、どちらもB市にある。一つは日本映画大学で、もう一つは国立演劇大学だ。」

道乃漫もよく知っていた。結局、この二つの学校はあまりにも有名だったから。

前者はスター志望の若者たちの第一志望で、今のスクリーンで活躍している多くの人気俳優や女優、そして若手スターたちの多くが日本映画大学の出身だ。アイドル的な存在を多く輩出しており、もちろん実力派も少なくないが、大半は容姿で勝負している。面接の際も、学生の容姿が大きな評価点となっている。

一方、国立演劇大学はより舞台性、演技性に重点を置いている。学生の容姿に対する要求は日本映画大学ほど高くないが、今日の多くの実力派ベテラン俳優は国立演劇大学の出身だ。同じ作品に出演している橘水東のような名優も国立演劇大学の出身だ。最優秀女優の高森珊美も同様で、彼女と共演する者は誰もが圧倒される演技力に感服せざるを得ない。

道乃漫に言わせれば、確かに国立演劇大学の方が好ましかった。

彼女は演技がしたいのであって、スターになりたいわけではない。映画やドラマの中で、別の人物を演じ解釈する感覚を楽しみたいだけで、良い作品を作りたいと思っている。今のように、市場が人気者たちに占領され、ファンの数だけで興行収入や視聴率が得られ、映画やドラマ本来の質が軽視されるような状況は望んでいない。

しかし実は、もう一つの理由があった。加藤正柏と道乃琪が日本映画大学にいるからだ。加藤正柏は監督科に、道乃琪は演技科の学部生として在学中だった。

加藤正柏と道乃琪と同じ学校で学びたくなかった。もし彼女が行けば、きっと二人は頻繁に彼女を煩わせるだろう。

彼女は二人を恐れてはいないが、そんな無意味な人々に自分のエネルギーを浪費したくなかった。

彼らと関わる時間があるなら、しっかり勉強した方がましだ。

二人との接点を持ちたくないという思いから、道乃漫は最終的に国立演劇大学を選んだ。

神崎卓礼はその理由を聞くこともなく、すぐに承諾した。「この件は私が手配しておく。」