380 あなたに出来ないことがあるの？

「そうね」道乃漫は溜息をつきながら言った。外の人は神崎卓礼が順風満帆だと思っているけど、誰もが自分なりの苦労を抱えているのだと誰が知っているだろうか。

食事を終えた後、道乃漫は神崎卓礼の服を買いに出かけた。ついでに、いざという時のために、パジャマも二着ここに置いておくことにした。

買い物を終えて帰る途中、道乃漫は瑭子からLINEを受け取った。「漫、トレンド入りしたわよ。しかも順位がどんどん上がってて、1位になりそうよ」

「えっ？」道乃漫は呆然とした。最近何もしていないのに。

Twitterのトレンドを開いてみると、なんと彼女のトレンドワードは「道乃漫のドレス」だった。

クリックして見てみると、ネットユーザーは皆、道乃漫が着ていたドレスのブランドを尋ねていた。

「道乃漫と同じのが欲しい」

「バイヤーも探してるけど見つからない」

「もうタオバオに類似品が出てる」

「一体どこのブランドなの？欲しい！」

道乃漫：「……」

きっと見つからないだろうな、これは全部自分でリメイクしたものだから。

道乃漫は少し考えてから、そのドレスの写真を撮ってTwitterに投稿した。「このドレスは私が自分でリメイクしたものです。昨日の試写会前にメイクをしている時に、トラブルがありました。ドレスが故意に破損されたので、新しいものを買う時間がなく、修正を加えました」

写真の中で、道乃漫はブランドにモザイクをかけた。広告の疑いを持たれたくなかったからだ。

一枚は修正後の姿、もう一枚はリボンを取り除いた、ドレスの元の姿だった。

ドレスに付けられた裂き傷がはっきりと見えた。

「誰よそんなことする人！最低！」

「すごい！才能あるね！」

「道乃漫さん、できないことってあるの？」

「最初は道乃漫さんがPRのエキスパートだと思ってたのに、PR界で最高の賞を取った後に女優になって、演技の世界に専念するのかと思ったら、今度は新しいドレスをデザインするなんて。道乃漫さん、本当にできないことってあるの？」

「すごく多才だけど、全然嫉妬する気にならない。ただただ尊敬するばかり！」

「道乃漫さん、どうしてそんなに凄いの？私たちにも教えて！」

「私もあなたみたいに凄くなりたい」

「話を逸らすのはやめて、重要なポイントは誰かが意図的に道乃漫さんのドレスを破損したってこと」