「知らないの?昨日の初日上映のチケットを買った人の話によると、白泽霜乃はメインスタッフリストに名前があったのに、実際の映画では彼女のシーンが一切なかったし、個別インタビューにも登場しなかったらしいわ。何があったのかしら」
「すごいね、白泽霜乃のシーンを全部カットしたってこと?」
「白泽霜乃は誰かの機嫌を損ねたのかな、すごいことになってるね」
「なぜか分からないけど、道乃漫の仕業な気がする」
「荒唐無稽に聞こえるけど、私も道乃漫が白泽霜乃のシーンを消させたんじゃないかって思うんだけど」
「これが道乃漫に対する民衆の信頼なんだね!」
「すごい、いつの間にか道乃漫は私たちの中でこんなに万能になってたの」
「この根拠のない自信は私も不思議だけど、でも私も道乃漫だと思う」
「道乃漫の仕業だと思う人はいいね押して」
こうして、普通のコメント欄が再び脱線し、道乃漫は苦笑いを浮かべながら見ていた。
ネットユーザーの想像力には感心せざるを得ないが、実際彼らの推測は八九割当たっていた。
最終的に誰が道乃漫のドレスを台無しにしたのか、確実な証拠はないものの、多くのネットユーザーは暗黙の了解で白泽霜乃を指差していた。
白泽霜乃の評判が悪すぎるし、手がかりから考えても白泽霜乃に行き着くからだ。
正直なところ、道乃漫も少し心の準備ができていなかった。一着のドレスのせいで、この件の進展が早まるとは思わなかった。
白泽霜乃のファンたちは噂を聞きつけ、一斉に道乃漫のTwitterに押し寄せた。
「証拠があるなら出してみろ、ないなら黙ってろ!」
「道乃漫さん、気持ち悪い。私たちの霜乃の人気にあやかって有名になりたいだけでしょ」
「笑わせるわね。私たちの霜乃は何年も前からスターよ。道乃漫なんて一本の映画で女三号を演じただけで、それまで誰も知らなかった人でしょ。霜乃が彼女を標的にする必要なんてある?単に道乃漫が霜乃を陥れて出世しようとしてるだけ。少しは頭を使いなさいよ!」
村上舟翔のファンは常に道乃漫を監視していて復讐の機会を狙っていたが、この時ばかりは一斉に押し寄せてきた。
「その通り、道乃漫は有名になりたいだけで、あちこちで人を陥れてる。前は私たちの舟翔を、今度は白泽霜乃を!」