457 伝説の出資付き入団

彼女は神崎卓礼に損をさせたくなかった。

木村成真は初めて監督を務めるので、高木武一と比べることはできない。

高木武一でさえ最初は自分の映画の興行収入が150億円程度と言うのがやっとだったのに、神崎卓礼は口を開くなり木村成真に150億円の最低保証を提示した。

木村成真は道乃漫以上に驚いた。

道乃漫との関係で、神崎卓礼は高木武一に100億円の最低保証を出したが、それは道乃漫が女優第三位だったからだろう。もし主演だったら、100億円では済まなかっただろう。

最終的に道乃漫は神崎卓礼に損をさせず、映画の興行収入を300億円まで引き上げることに成功し、逆に神崎卓礼を大儲けさせた。

しかしあれは高木武一の映画だった。少なくとも保証があり、観客も納得していた。

でも彼は?

彼は初めて監督を務め、以前映画に出演したこともあるが主役を演じたことはなかった。