「感染してもいいわ」道乃漫は離れるどころか、彼の顔を両手で包み込み、彼の唇に強く口づけした。
さらに彼の唇を開かせ、舌を差し入れた。
神崎卓礼は困り果てたが、心の中では言い表せないほど柔らかな感情が広がり、彼女を抱く腕は思わず強まった。
しばらくして、道乃漫は顔を上げ、彼の眉間にもう一度軽くキスをした。「早く寝なさい。早く良くならないと」
神崎卓礼は彼女の約束を思い出した。「言ったよね、僕の病気が治ったら、何でも好きにしていいって」
道乃漫はあっさりと頷いた。「もちろん、約束は守るわ」
彼の病気が治ったら、彼女は撮影に入る。彼はそれでも何かしたいというの?
道乃漫は小狐のような媚びた目を見せた。
神崎卓礼は彼女のその表情を見て、また彼女が狡猾になったことを悟った。