455 心を通わせる

道乃漫：「……」

彼女はこれで分かった、この男は全く怒っていないのだと。

「わかったわ」道乃漫は頷いた。「実は私もあなたを責めているわけじゃないの。ただ、あなたが私に言わないこと、病気になっても教えてくれないこと、私が心配するのを恐れているのは分かるけど、そういう時こそ、私はあなたのそばにいたいの。まるであなたが私と距離を置いているように感じるわ。私に何かあれば、あなたはいつも真っ先に反応してくれる。あなたがいれば、必ず私のそばに来てくれるし、もしいなくても、誰かに私の問題を解決するよう頼んでくれる」

あの時、高倉社長が周村社長たちと一緒に彼女を問い詰めた時、河野社長と藤井天晴があんなに早く駆けつけたのは、神崎卓礼のおかげだった。

「普段、私はあなたの役に立てることがほとんどないわ。ほんの些細なことでもあなたのためにできればいいのに。でも、あなたが本当に世話を必要としている時に、私に教えてくれない」道乃漫は落胆して言った。「それが私には辛いの」

「わかった」神崎卓礼は彼女の手を握り、唇に運んで、彼女の長い指にそっとキスをした。「これからは何でも相談してくれ。俺もこれからは何事も全部お前に話す」

「うん」道乃漫は笑顔を見せた。

熱のせいかもしれないが、神崎卓礼の唇は特に熱く感じられた。

そのとき、寝室のドアがノックされ、河野叔母が外から言った。「旦那様、道乃漫さん、須藤先生がいらっしゃいました」

「神崎家のかかりつけ医だ」神崎卓礼は説明した。

彼のように忙しくなると、病院に行く時間がまったくない。大爺様と大婆様のように年を取ると、病院に行くのも不便になる。

そのため、神崎家には専属の家庭医がいた。

道乃漫は立ち上がってドアを開けた。須藤先生は儒雅な中年男性で、背が高くて痩せており、眼鏡をかけていた。

「道乃さん」須藤先生は道乃漫に挨拶した。

一昨日、老夫婦の定期健康診断のために本邸を訪れた時、大婆様はずっと道乃漫のことを口にして、自慢し続けていたので、須藤先生は忘れようとしても忘れられなかった。

須藤先生は神崎卓礼を診察し、解熱剤を飲めば良いと言った。

家には常備薬があり、河野叔母が薬を持ってきて須藤先生に見せた。須藤先生はそれに問題がないことを確認し、説明書に従って神崎卓礼に服用させた。